あり父さんの 恋
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モンチーのお友達、あり父さんのおはなしです。

あり父さんが、まだ 父さんじゃなく
あり少年だったころ・・・

あつい日だったなぁ・・・

その日 あり少年が みつけたもの。
とある おうちの かきねから 
うんと うえをむいて のびている あかい 玉。

「あれが、たいようかー」
あり少年は、ほぉーっと ふかい いきを はきました。
なんて、かれんなんだろう!
なんて、すてきな あかいろだろう!
とっても とっても あまそうだ。

あの たいようの そばへいってみたい。
そうおもうと あり少年のからだは ぷるぷる ふるえました。

おや? たいように はしごが ついてるぞ。

あの はしごをのぼっていけば、たいように あえる。
そうおもうと あり少年のからだは するする うごきだしました.
たいように あいたい・・・

あり少年は はしごのねもとへ いそぎました。
なぜだかわからないけど 
だれにも みつからないように
この どきどきする むねのおとを だれにもきかれないように 

たいようへむかって のびているはしごは 
めいろのように ぐねぐねと 
ところどころに するどい とげが みえかくれ。

それでも あり少年は のぼりはじめました・・・

とげにはきをつけて
とげにはきをつけて
どこからともなく きこえてくる こえ

だれだろう?
たいようの こえかな?
かぜの こえかな?
てんしの こえかな?
 
でも、気をつけなくちゃいけないね
だって とっても いたそうな とげだもの

はしりだしたいのを がまんして
しんちょうに しんちょうに 
とげに さされば たいように あえなくなって しまうから。

ぐねぐね つづく とげばしご
のぼって のぼって・・・

みえてきた みえてきた
まっかに もえる たいようが・・・
あり少年は もう あせだくです

「たいようって、いいにおいがするんだな・・・しらなかったよ」

あり少年が つぶやいたとき
「ふふふふふ」
と わらうこえが しました。

「ありさんも、たいように あいたかったの?」

「え? あなたが たいようでは ないのですか?」

「わたしは バラ。バラの 花。」

あり少年は まっかになりました。
「ごめんなさい。 たいようと まちがえて。」

「あら、じゃぁ わたしに あいにきてくれたのかしら? うれしいわ。」

あり少年が、うえをみあげると
まだまだ ずっとたかいところに いつもの あおぞらがみえて、
たいようがいるところは まぶしすぎて みえなくて
だけど、 きのてっぺんが いつもより うんと ちかくに みえました。
えだにとまっている ことりのすがたも はじめて みました。

しらなかった、しらなかった。しらなかったことだらけだ!

「たいようが あんなに とおくにあるなんて、しらなかった」
バラの花は、そういって ふふふと わらいました。
「しらなかったことが いっぱいみつかるのって たのしいね、ありさん。」

あり少年が、したをみおろすと 
しんぱいそうにしている 父さん 母さん 兄さんたちが みえました。
「しらなかった・・・ どうしよう?」

「わたしの 花びらに つかまりなさい。」
バラは、あり少年のつかまった 花びらを かぜに のせてくれました。

ゆら ゆら ゆらり・・・さようなら
ちいさな こえで・・・「ただいま」

カシャリ。
たいようが しゃしんをとってくれました。

あり少年が、父さんたちに しかられている しゃしんをね。

バラのしゃしんは・・・
あり少年、いえいえ、あり父さんのこころのなかに ありますよ。


©tukkin 2000.10